孤高の女戦士は劣勢にも関わらず戦場へ向かいそして……

戦士のコスプレはありませんが、戦いの末に倒れたミツカのイメージで・・・

 

前編に引き続き、新作寝取られ歴史小説「覇王の国の寝取られ女王 -戦国NTR- 血で血を洗う弱肉強食の世界で愛と寝取られのために戦う勇者の物語」より、後編の冒頭にあたる部分を掲載します。
後編の物語は、前編にて「不死の里」を裏切った戦士ヤマシバの謀略により女王ノーシアが処女を失い、女王不在の女王国に覇王軍が再度の戦いを仕掛けたところから始まります……

 

 

「五万か? 五万だと?」

 さすがにリルカが慌てた声を出した。

 覇王軍との再戦を前にしての戦略会議。

 前回の戦にて、激しい白兵戦とミツカの戦慄すべき力によって、三万で攻めてきた覇王軍はその三分の一以上にあたる一万数百の兵を失った。

 だが、その報を受けて中央より派遣された援軍の数は、さらに三万。

 合流したその兵力は合計しておよそ五万にまで膨れ上がった。

 覇王アレイクが支配しているとはいえ、中央は下克上の地。

 あまりに多くの兵を割けば、よからぬことを企む武将も出る。

 そのことを考えれば、この北の辺境に向けて五万というのは、可能な限り最大の兵力と言ってよかった。

 

 しかも忍びの者はさらに重要な情報を伝えてきた。

 その三万の兵の中には、多数の鉄砲部隊がおり、さらには相当な数の大砲を運んできているというのだ。

「大砲……だと……?」

 この時点で和の国の歴史の中、大砲が実戦で使われた例はまだ無い。

 覇王アレイクはこの北の地の征伐を、南蛮との交易によって得られた最新兵器の実験の場としようとしているのだ。

 

「えげつないな。容赦なく我々を滅ぼしにかかるつもりだ。これは、五万の兵は戦いそのものというよりも、勝った後の占領政策のためといった風情だな」

 アーカスはお手上げだと言わんばかりに両手を掲げてみせる。

「確かに大砲は問題だ。そんなものをいくつもぶっ放された日には、たとえ女王様の念の力があったとしても防ぎきれるかわからないからな。だが逆に言えば、その大砲さえ破壊してしまえば、勝機をつかむことが出来るかもしれん」

「本気か、リルカ?」

「もともと今回の戦において、数に劣る我々としては、逃げることの出来ぬ地形に相手を追い込み、そこで戦士の力、あるいは念の力を持って、敵軍を壊滅させる作戦が必要だと考えていた。そのためにふさわしい場所として私が考えていたのは、この袖巻の地だ。野戦の末にわざと敗走して見せ、敵の主力をこの地に誘い込み、四方から叩く。難しい戦いになるだろうが、どちらにせよ大砲は野戦ではそれほど脅威にはならない。大砲が真価を発揮するのは、城を攻める際だ」

「なるほど、つまり袖巻の城を拠点とし、そこに誘いこむように敗走すれば、自然と敵の大砲もそこに集まってくる、というわけか」

「だが万一にもこの袖巻の城が落とされるようなことになれば、こちらは拠点を失うことになる。その時点で大勢は決する。これは賭けだな」

 リルカ、アーカス、バラキら上位の戦士たちが、作戦を議論し合っている。

 ミツカは最初から上の空だ。ランドに至っては序列が低いため発言権がなく、居眠りを決め込んでいる。また前回の戦いで負傷したホウジョは、作戦そのものに参加の許可が降りていなかった。

 

「作戦そのものは良いだろう。だが、ひとつ問題がある。この袖巻の付近には、山賊ロッドが根城にする山がある。奴の動向は、気にかけておかねばならない」

 バラキの発言に軍議室の中がどよめいた。山賊ロッド。それは、彼ら上級戦士たちが耳にしたくない名前だった。

 なぜなら、その男はほんの半年前まで、彼ら「山の戦士」の仲間であり、上級戦士の一員だったのだから。

「ロッドか……今回の戦にあたり、奴が覇王側に着いたという情報はあるのか?」

「わからぬ。奴の活動範囲は、文字通りの地下や、山の中だからな。だがそもそも奴が山賊を名乗りならず者どもを組織して、村々を脅かすようになった陰には、覇王軍の支援があるという噂は当初よりあった」

「大事な拠点の喉元に、敵のものかもしれぬナイフがあるわけか……」

「しかし、たとえ内通していたとしても奴一人。率いているのは雑魚に過ぎぬ。アーカス一人でも対応できるだろう。そして、私の勘だが、奴はおそらくこのような戦には関わろうとはしないはずだ。そもそもこうした戦で命を失うのが嫌で、奴は軍から逃げ出して山賊になったんだからな」

「わかった。ではもし奴が戦場に現れた時は、俺が引き受けよう」

 

「では、おおよその作戦は決まったとして、配置はどうする? ミツカの扱いはどうするのだ? 彼女の力の使い方は、戦局を左右する重要な要素になってくるぞ」

「残念だがミツカの力は本人の消耗が激しい。前回の戦においても十回ほどの念を放った時点で力尽きてしまった。また同じことをさせれば、今度は十回もたずに倒れるだろう。そこでだ、ミツカにはこの袖巻の城にて、大砲の相手をさせようと思う」

「大砲の相手とは?」

「私たちの狙いは、この袖巻の地に敵主力を誘い込み、集結したところで四方から叩くことだ。何よりもまず先に大砲を破壊することが先決になってくる。とはいえ、おそらく敵も易々とそれを許してはくれまい。いくつかの大砲は無傷で残るかもしれん……」

「そうか。ではその大砲の弾から城を守る役目を、女王様の代わりにミツカにやらせようと言うのだな」

「その通りだ。出来るか、ミツカ?」

「やってみよう。大砲の弾など持ったことは無いが、同じくらい重い岩を動かす訓練なら何度もしている。女王様のように軽々と、とはいかぬかもしれぬが、やれぬことはないはずだ」

「よし。頼んだ。アーカスはいつものようにミツカと組み、城の守りに着け。その他の配置は以下の通りだ。第一陣にトモナガとグラアム。第二陣にワシマとスミヤカ。第三陣にバラキとランドを配置する。決戦の地は袖巻。皆、この一戦に命を捧げよ!」

「山の神のご加護を!」

 十九名の上級戦士たちは、そう言ってグラスを掲げ、ワインを飲み干すと、足早に軍議室を出ていった。

 その向かう先は戦場。

 覇王軍五万に対して女王国わずかに五千。

 あらゆる意味で絶望的な戦いであった。

 

 

 北の山。

 背後に見える、国の守り神であるその山。

 ほんの数ヶ月前、女王と共に戦った時は、背後にある山が、あれほどに頼もしく思えた。

 だが、今この袖巻の城壁の上から見るその山は、なぜだかいつもと違って見える。

 不思議だ。あの山は子供の頃からいつも見ていたはずなのに……

 ミツカら『山の戦士』たちは、あの『北の山』の神託によって、戦う力を授かった。そしてまたミツカが持つ『念動力』の源泉も、あの『北の山』から来るものである。

「その意味では、私たち『山の戦士』がもっとも信頼し、崇拝すべき山であるはずなのに、なぜだろう、今日の『北の山』は、どこか禍々しくさえ見える……」

 これも女王がいなくなった所為なのだろうか。

 ミツカは考える。

 山の加護を失った我々は、滅ぶしかないのだろうか。

 しかし、考えていても仕様がない。

 戦うべき相手、覇王軍は、もうすぐそこまで来ているのだから。

 おそらくはもう先鋒を任されたトモナガとグラアムの部隊は、敵の主力と交戦しているはずだ。

 

 

「なに?! トモナガとグラアムがやられた!?」

 袖巻の城の本陣に、伝達役の忍びによる報が届き、リルカは色を失った。

「はい。覇王軍はおびただしい数の鉄砲を所有しております。それも従来のものに比べ小型化され、敵兵の一人一人がそれを所持。奇襲を狙って敵軍に飛び込んだトモナガ様とグラアム様は、逆に予期せぬ反撃に合い、負傷され、動きの止まったところを……あえなく討ち死にされました……!」

「『山の戦士』の機動力が、裏目に出たというのか。敵兵の一人一人が銃を所持しているだと? これまで通り戦っていたのではまずい。第二陣はどうなっている?」

「第一陣が敗走し、第二陣は間もなく敵兵と交戦状態に入るかと思われます」

「急ぎ第二陣に向かい、ワシマとスミヤカにこの情報を伝えよ。犠牲を増やすわけにはいかぬ!」

 指令を受けた忍びの者が出ていき、リルカは思わず爪を噛んだ。

「おびただしい数の銃。覇王軍はそれほどの生産能力を手にしているというのか……? 信じられんが、事実だとすれば……」

(我々に勝ち目はない……)

 だが司令官として、その言葉を口にすることは絶対に出来なかった。

 

 

 リルカの懸念は最悪の形で現実となって、女王軍の前に突き付けられた。

 この時代、和の国ではまだ鉄砲は珍しく、貴重品であり、実戦で使われた回数は数えるほどである。

 だが覇王は、「山の戦士」を中心に高い戦闘能力を有する女王軍の殲滅を確実なものとするため、この思い切った物量作戦を取った。

 覇王アレイクは短期間の間に九周地方の鍛冶屋を総動員させて、大規模な銃の生産拠点を作ったのである。同時に大砲の生産にも着手し、今回の戦場に運ばせている。

 これは近代以降において九周地方が鉄鋼工業の中心地となる基となった出来事であるが、全国の八割を手中にし絶大な権力を持つ覇王アレイクだからこそ可能な、スケールの大きな戦略だった。

 これまで女王軍の強さは、「山の戦士」を中心とした少数精鋭の非常に高い戦闘能力に支えられていた。もちろん、高度に訓練され組織化された兵たちは、他国の兵を上回る戦力を持っていたが、それも「山の戦士」や「念動力者」の活躍があったからこそ、体勢を崩した敵に対して効果を発揮できたのである。

 だが今、大量の鉄砲が戦場に持ち込まれ、それを敵兵の一人一人が所持することによって、この図式は大きく崩れた。

 鉄砲の数が少なく、かつ一部の部隊のみによって使用されるうちは、「山の戦士」たちも対処の仕様があったが、いかに強いとはいえ、彼らも人間である。多方面から一斉に撃ちかけられてしまっては、狩人から逃げる鹿のように、やがて追いつめられるしかなかった。

 

 また機動力を生かした白兵戦の中でも、敵兵がすべて銃を所持しているとなれば、はるかに戦い方は難しくなってくる。敵兵十人を斬って捨てたとしても、十一人目が銃を撃ち返してくるかもしれない。

 今や覇王軍の一人一人が、「山の戦士」に抗し得るようになった。

 これは時代の移り変わりの中で、戦というものが白兵戦による戦闘から、銃火器による戦闘へと変わっていく、そのパラダイムシフトとも呼べる出来事だった。

 女王軍の兵たちは、今まさに、そのパラダイムシフトの最中に巻き込まれ、翻弄されていた。

 

 第二陣、第三陣と、次々に消息不明になる「山の戦士」たち。

 敵軍が勢いづいているのは明らかで、第四陣が突破され、そこを守っていたキヤマが戦死したという報が入る頃には、女王軍は作戦の見直しを余儀なくされ、リルカは袖巻の地を挟撃のポイントとするのではなく、遊軍をわずかに配置するのみで純粋に守りを固めることに徹することとなった。

 わざと敗走し、袖巻に誘い込むのではなく、純粋に攻め込まれる意味で、女王軍は袖巻に追い込まれたのである。

 タケマサの守る第五陣が突破された時点で、報告された大砲の数は十二。会戦前の報告が十五だったから、破壊できた大砲はわずかに三つだったことになる。

 実際には大砲の破壊に成功したのは、活躍こそ絶対にしないが振られた仕事は必ずやり遂げるランド、そのランドと共に行動し、序列五位の実力で見事に銃火器による攻撃に対応したバラキ、そして夫婦で行動し一つの大砲の破壊になんとか成功したワシマとスミヤカだった。だがこの四名の消息も、間もなく途絶えることになる。

 いずれにせよ崩壊した陣形の中、袖巻の城は十二の大砲の脅威にさらされることになる。

 

「これでは『術者』殿も、お忙しくなるな。十二もの大砲を相手にお手玉をせにゃならんのだから」

 城の前方、ひとつまたひとつと到着しては配置される大砲。そしてそれを運んでくる敵の大部隊。

 こんな絶望的な状況に置かれても、アーカスは落ち着いている。頼りになる男である。常に相棒として戦場に立ってきたミツカは、この男の肝の大きさをよく知っていた。

「どれ、では俺がそのひとつやふたつも壊して、術者殿の負担を少しでも減らして差し上げよう」

 幅広の大きな剣を手に取り、アーカスが陣を出ていく。

 城門が開き、たった一人の「山の戦士」、序列第三位、最強の男が出陣する。

 まずは二町半ほど前方に設置された大砲、そこにいる敵軍めがけて、すさまじい速さで走っていく。

 と、その時、反対の方向から同様の速度で何者かが走り出て、アーカスとすれ違った。交錯するふたつの光。「ギン!」という剣を打ち合わせた金属音が、数秒の誤差をもって城まで聞こえてきた。

 アーカスは立ち止まり、振り返る。

 その顔からは笑みが消え、一切の甘さがなくなっている。

 

「名を名乗られよ。貴公も『山の戦士』とお見受けした」

「フッフッ……いい腕をしてるじゃないか、若造。オレの名はヤマシバ。元、不死の里を守っていた山の戦士だ」

「不死の里……? 本当にあったのだな。その不死の里を守るはずの、山の神の加護を得た戦士が何故、覇王に着く?」

「フン、いろいろあってね。だが基本的には自分のためさ。御託はいい。やろうじゃないか」

「そうか。俺の名は女王国上級戦士アーカス……参る!」

 アーカスが地を蹴り、すさまじい速さの速攻を仕掛ける。

 だがヤマシバは、動く素振りすら見せずに、それ以上の速度で移動してみせると、その恐ろしく長い剣を背中の鞘に収めた。

 傍目には、緑色の光が跡を引くようにして動いたとしか見えない。

 アーカスが倒れる。倒れた周囲が血に染まる。

 

「アーカス!!」

 ミツカは手近にある剣をひっつかむと、城門から飛び降りた。

 この作戦において、ミツカには白兵戦をする予定はない。

 だからミツカがまとっているのは革製の「戦士の装束」ではなく、薄い衣に過ぎない「術者の装束」だ。

 だが常に戦場を共にしてきた相棒を殺られて、黙っているわけにはいかない。

「だああぁーーー!!」

 雄叫びと共に、ミツカがヤマシバに打ちかかる。

 不意を突かれたヤマシバは驚いて見せたものの、ミツカの剣をすべて受け止めている。

「よくも、よくもアーカスを!」

 ミツカは気性が激しい。それが相棒を目の前で殺されて逆上し、我を失い怒りにまかせて攻撃している。その速度はアーカス以上のものだったが、感情に流されて精度を欠いた。

「おっかねえ姉ちゃんだな。名をなんと言う?」

「女王国山の戦士、ミツカ。お前を殺してやる」

「ミツカか。情報網で聞いてるぜ……戦士でもあり術者でもある珍しいタイプ。今回の戦の要注意人物の筆頭だってな」

 ヤマシバの台詞を待たずにミツカが打ちかかる。

 だがミツカの攻撃はすべてヤマシバの剣によって受け止められている。

 ミツカにとってこの感覚は初めてのものではない。

 そう、これは……。

 ミツカはランドとの特訓を思い出していた。

 激しい打ち合い、そして人の目に止まらぬほどの速度。

「山の戦士」同士のすさまじい戦いに、味方はもとより、城の前に集まっていた敵兵たちも圧倒され、息を飲んで見守っている。

 銃を使って援護しようなどという者はいない。狙いを定めることが出来ないばかりか、どちらに当たってしまうかもわからない。

 

 突如、一瞬の隙を突いてヤマシバが連撃を繰り出す。わずかに体勢を崩したところに何発も繰り出され、しかもヤマシバの剣は長い。かろうじて躱せたのは上級戦士の中でも随一の身のこなしを誇るミツカだったからだと言える。

 ミツカは立ち上がったが、「術者の装束」の裾は切り裂かれ、肩もはだけて胸が露出していた。

 気が付いたミツカが思わず胸を隠す。

「いい女じゃあないか、山の戦士ミツカ。決めたぜ。お前は殺さない。痛めつけた上で、犯してやる。処女を失えば、念動力も消えるんだろ? 女王の二の舞にしてやるよ」

 女王という言葉を聞いてミツカが逆上する。

「貴様! よくも! 女王様を!」

 しかし雑な攻撃はヤマシバには通じない。

「おいおい勘違いするなよ。オレが女王を犯ったわけじゃないぜ。オレはただ、女王を嵌めるための情報を、覇王にくれてやっただけだ。『不死の里』を犠牲にしてな」

「同じことだ! 自分の故郷を裏切って! 人を貶めるような奴に! 女王国は渡さない!」

 ミツカの必殺の連撃。

 一本でありながら、左右同時に迫る剣がヤマシバを襲う。

 さすがのヤマシバが一瞬、冷やりとしたが、紙一重でかわすと逆襲に出る。

「笑わせるぜ。国だと? 故郷だと? 人間ってのはなあ、てめえの欲望のために戦ってこそ、いちばん強えんだよ!」

 ヤマシバの最高速度の連撃が繰り出される。ミツカは必死で防ぐが、追いつかない。すんでのところで、ヤマシバの剣がミツカの腹を切り裂く直前、本能的に念の力を発動し、ヤマシバの剣をはね除けた。

 

「おいおい、今のは無いんじゃないか。なるほど、戦士にして念動力者か。よくわかったぜ。だが、両方いっぺんに使うのは得意ではないらしいな」

 ヤマシバが重心を落とし、半身の構えになる。

「やっぱり殺すことにするぜ。そのおっぱいを好きにしてみたいのはヤマヤマだがな。手加減してどうこうなる女じゃなさそうだ」

(来る……)

 あやうく腹を切り裂かれそうになったことでミツカの頭は冷静になっていた。

(思い出すんだ、あの訓練を。あの時のランドの動きを)

 ヤマシバが地を蹴った。緑の光が迫り来る。さきほどよりもさらに速い連撃だ。

(受け流せ。ランドが私の剣をさばいていたように。逆らわず、流すんだ)

 キン!!

 一瞬のうちに、七つ、いや八つ、剣が交わる音がする。

(受け切った)

 だがその時にはミツカの体勢は崩れ後方へと倒れ込んでいた。

 そこにヤマシバも倒れ込んでくる。すべての勢いを乗せた連撃を放ち、それが受け止められた後の準備は無い。

「うっ」

「ぐっ」

 声を上げて両者が倒れ込む。

 仰向けに倒れ込んだミツカの上にヤマシバの体が覆い被さった。

 だが同時にミツカの剣はヤマシバの腹部を貫いている。

「ゲッ……」

 ヤマシバが吐血し、ミツカの胸が赤い色に染まった。

 ヤマシバは望みどおり、ミツカの胸に自分の顔を埋めたが、その時には彼はもう死んでいた。

「勝ったぞ、ランド……アーカス……」

 ヤマシバの体を乗せたまま、激戦を制したミツカは息をつく。

 

 しかしその時、大砲が放たれる音がし、次いで城壁に当たって爆発する大音響が鳴り響いた。

「しまった! 城を守らなければ!」

 ミツカは急ぎ城に戻り、跳躍して城門の上に飛び乗る。

 振り向きざま、今まさに迫りくる巨大な大砲の弾に向けて手をかざし、念の力で受け止め、はね除ける。

「ぐっ……」

 実戦経験の浅いミツカの念動力では、女王のように周囲すべてを掌握するというわけにはいかない。先程まで白兵戦を行っていた後で、集中力も途切れがちだ。

 今のミツカに出来るのは、放たれた大砲の弾をひとつひとつ止め、さばき、はね除けることだけだ。

 城壁の前に、はじかれた大砲の弾が転がり、ある物はそこで爆発し、ある物は不発に終わって地面に埋まっている。

「こんな時にランドが居てくれたら……」

 ヤマシバへの対応や、大砲の処理も任せられたはずだ。

 そうでなくても、ランドが側に居てくれるだけで、ミツカの心は平穏になり、念の力は増しただろう。

 

 もう何十の大砲の弾をさばいただろうか。

 こんなことをいつまで続ければいいのか。

 あとどれだけ続ければ弾が尽きてくれるのか。

 弾が尽きたとして、今更そこから我が軍に劣勢を覆すことが出来るのか。

 考えるほどに絶望がこみあげる。

 どん。

 地面が揺れ、巨大な音と、腹に響く振動が来た。

 大砲の音ではない。

 念が乱れた。

 敵兵が空を指差している。

 振り向くと、北の山が火を噴いていた。

「な! なぜ! 今この時に!」

 念が力を発揮しない。

 力の源である山が爆発したからか。

 言い伝えでは確か過去の噴火は二百年前だったはずだ。

 あちこちで大砲の弾が着弾し、城壁が破壊される。

 ミツカは呆然として空を見上げた。

 次の瞬間、飛んできた大砲が城門に着弾し、ミツカは足下を崩されるとともに吹き飛ばされ、ミツカの身体は二十間ほど宙を飛ぶと城壁の裏側に落ちた。城門は破壊され、覇王軍が城内になだれこんで来た。

 (体験版ここまで)

 

 

 

ミツカの奮戦も空しく、女王国の命運を賭けた袖巻の城の防衛戦は覇王軍の勝利に終わり、袖巻の城は陥落します。

その後に展開される光景は……想像がつくことでしょう。城内における覇王軍の兵士による略奪です。
女王国の美しい女たちは、まるで戦利品のように、覇王軍の兵士たちの欲望の餌食になっていきます。大規模な侵略により、何千、何万という女が犯され、異国の男の子供を身籠ることになるのです。

敗戦の先に待つ壮絶な寝取られの運命。それは軍を率いるリルカを始めとする女戦士たちにも降り掛かってきます。

ミツカはどうなってしまうのでしょうか。そして幼馴染みのランドはこの戦いを生き延びて、ミツカを助け出すことが出来るのか。

女王国の崩壊に伴う数々の強姦劇、そしてその後のミツカの運命を握る山賊ロッドが登場し、「山の神」の謎に迫ります。生き残った「山の戦士」たちが集結し、覇王との最後の戦いに向けて、ストーリーはどんどん加速していきます。

そのクライマックスの興奮を、どうぞご覧ください。

NTRの概念を越えた「寝取られ大河ドラマ」。前編と後編の二部構成になっております。

 

 

 

 

 

どうぞよろしくお願いいたします。