寝取られ夫は情けない敗者

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寝取られとは情けないものです。

寝取られた夫。それは、セックスという残酷な競争の敗者。

寝取られた男は、男としての面目を失い、周囲に馬鹿にされ、からかいの対象となります。仕事や家庭、社会的な立場を失ってしまうこともあります。

それくらい、寝取られとは恥ずかしいものです。
寝取られ夫、寝取られ彼氏。
彼らは本当の負け犬として、男からも女からも馬鹿にされます。

しかし、社会が変わり、NTRという行為が社会的に浸透した昨今。
寝取られに憧れ、自分も寝取られを体験したい、そう思う男性が増えていると言います。

これはとてもおかしなものです。
寝取られとは、望まないからこそ寝取られだからです。
望まないこと……最も起きて欲しくないことが、大切な恋人の身に起きてしまうからこそ、それは寝取られなのです。

現代社会の中で、結婚や恋愛をしない若者が増えていると言います。
恋愛をしなければ、すなわち寝取られも起きません。
寝取られが起きるためには、その前提となる親密な恋愛関係が必須だからです。

人と人とのコミュニケーションが希薄になり、愛し合ったり、恋をすることさえ稀となった社会の中では、寝取られという行為は贅沢品なのかもしれません。

ですから、人はフィクションの中で、小説やアニメ、ゲームといった世界の中で、誰かに恋をし、そして擬似的な寝取られを楽しみます。

ですがそれは擬似的なものに過ぎません。

自分が必死の思いで告白し、人生を捧げて、年月をかけて愛した大切な女性。

そんな女性が、ほんの些細なきっかけで他人に抱かれて、濃密なセックスをしてしまったら。

その本物の寝取られの痛み、苦しみ、悲しみは、きっとフィクションを遥かに越えるでしょう。かく言う私だって、何度気が狂いそうになったか知れないのです。

寝取られという行為が発生するためには、親密な恋愛関係がまずは必要です。

その時点で、実際に体験するためにはハードルの高い行為と言えます。

そしてもうひとつのハードル。

寝取られには、それに適したヒロインが必要です。

寝取られるにふさわしい、可憐で美しいヒロインが必要なのです。

周囲の男達が欲望を感じ、「他人の彼女だけど、一度でいいからヤってみたい」と思うようなヒロイン。

そして、寝取られてしまった彼氏(夫)が、胸をかきむしるような嫉妬を感じて、「いつもは純情で可憐な彼女が、こんなにエッチなことをするなんて」と驚き、やきもちを焼くような、そんな美人。

それは、純情さとエロさを兼ね備えた女性でなければなりません。

必ずしも、人気アイドルのような美人でなくてもいい。
たとえ平凡なルックスであっても、どこかかわいらしい、可憐な魅力があればいい。

寝取られとは主観的なものです。
ですから、たとえ世間から見て不美人であったとしても、夫の目に美人と映っていれば、寝取られは成立します。

「人が何と言おうと、君は世界一の美人だよ。君の魅力は、僕だけが知っているんだ。君は僕だけのお姫様だよ」

そう言って、夫は妻を愛します。
そんな「僕だけのお姫様」が、赤の他人に……場合によっては何人もの男に、抱かれ、ヤられ、好き放題に弄ばれてしまう。

それこそがまさに寝取られの姿です。

赤の他人である男達。
彼らは、ちょっと出来心で、奥さんをからかってみただけかもしれません。

最初は、大したことない女だと思っていた。

だけど、隙があったから。
たまたま、ムラムラしていたから。
顔はイマイチでも、胸がでかかったから。

だから皆でおだてていい気にさせて、騙して連れ込んで脱がせた。

脱がせてみたら、意外にいい身体をしていた。

普段はブスだと思っていたけど、抱いてみたら、意外と色っぽい顔になって、すごくいい声を出した。

旦那と仲のいい真面目な奥さんだと思ってたけど、なんだ、本当はこんなにエロかったのかと、興奮して最後までヤっちまった。

あの旦那からこの奥さんを奪い取ると思うと、気分がよくて、みんなで一緒になって楽しんだ。

結婚してるんだし、安全日なら大丈夫だろうってことで、構わずその場のノリで最後まで中に出した。

「あー良かった。こんなに気持ちいいセックス久しぶりだぜ」
「俺、中出しなんて5年ぶりだよ」

そう言って男達は満足し、けれども翌週になれば、どんな事をしたかなんてすっかり忘れています。

しかし「あいつのカミさん、いい女だったな。すごくエロいし、いい身体してたぜ」という、その事だけは、ずっと噂となります。

そして街で、職場で、旦那と会った際には、男達は心の中で旦那を馬鹿にし、奥さんの裸を思い出しながら、優越感のこもった目線でニヤニヤしながら旦那に挨拶するのです。

寝取られとは、「世界で僕だけは君を愛してるよ」と言って妻と結婚した男が、実は妻は他の男達にも結構愛されている、という事実を知ることです。

「君は僕だけのお姫様だよ」と言って妻を愛している夫が、実は妻は皆の共有のお姫様だったという事実を知ることです。

妻の女の肉体に魅力を感じるのは、夫の自分だけではない。
そして妻の女の肉体は、夫以外の男も平等に受け入れる。

その残酷な事実を、少しずつ受け入れていく行為のことを、NTRと呼ぶのです。

寝取られとは魅力的なヒロインの存在無しには成立しません。

世界にただ一人の僕の恋人。

世界にたった一人の、特別な僕の妻。

そんな特別な女性が他人のモノになってしまうからこそ、寝取られはつらく、苦しく、そして気持ちいいものです。

周囲の男達を魅了して止まない、可憐で特別なヒロインたちに感謝しましょう。

そして、そんな彼女をこれからも愛していきましょう。
たとえ下半身は、他の男達と共有であったとしても。